君はまた姿を変えた
花びらかと思えば、君は夕立で、
紅葉かと思えば、君は雪だった
春、君は一陣の風で舞い、僕の手のひらへやってくると、寄り添っていてくれた
どこへも行かないように握りしめようとした寸前、風はまた君を運んでしまった
夏、街の人々は傘なんか差しているけれど、僕は全身で君を受け入れる
君は僕の心を洗うだけ洗うと、さっとどこかへと流れてしまって、太陽が同情するように顔を覗かせてきた
秋、静かに色づいた君に僕は見惚れ、時間も忘れて夜まで見つめていた
君が枯れ落ちてしまうまでそこに居たかったが、すっかり冷たくなった風が吹き荒び、僕を追い立てた
冬、寒空の下で凍えていると、どこか暖かな雰囲気さえ纏った君が僕の肩の上に舞い降りた
今度こそと手で君を覆うと、いつの間にか君は消え、涙にも似た雫だけが残っていた
また、季節が移ろう
一体何度、君を季節に重ねただろう
そこに君はいないと、わかっているのに
忘れることも、抜け出すこともできないこの輪廻
僕を追い越し、遠のいていくその背中に
なんと言えば良かったのだろう
見上げるとまた、君は移ろっていた