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#15499

最後の日

Nちゃんのがんは一気にきた
夏ごろからどんどん元気がなくなっていった
365日仕事を休まないNちゃん 気丈で元気なNちゃん 
冗談でババアのフリをするNちゃんが
どんどん本物のお婆ちゃんみたいになっていった

最後の日 小雨 深夜 おれとNちゃんだけの店
「雨降ってるし今日は早く店を閉めたら?」とおれはいった
珍しくNちゃんはオレの意見を素直に受け入れて店を閉めた
「家まで送っていってあげるよ」とおれはいった
今まで絶対に誰も送らせたりしない気丈な人が
また素直に受け入れた。
小雨の中 Nちゃんの手を持って相合傘で家まで帰った
Nちゃんは確実に弱っていた

帰り道 Nちゃんは息子や娘 孫の話をした
その話には彼らを守りたいという思いを感じた
いつもおれのことも守ってくれた大事にしてくれた自慢してくれた。

マンションの前まで来てバイバイしようとしたら
玄関前まで送ってくれという
おれはNちゃんはひどく弱ってると思った

次の日から365日朝まで無限に開いていた店はずっと閉じられたままになった
街にはNちゃんが朝方救急車で運ばれたという話が回っていた
あの日以来病院のベッドで寝てるNちゃんにしか会えなくなった