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ソーシャルメディアの友だちの数が1000人を超えるあなた。その中で、空港で偶然に会った時、しばらく時間をつくって親しく話をしたい「友だち」は何人だろうか。著者によると、いくら多くても150人ほどだ。著者は、1人が維持できる友だちの数の最大値(150人)「ダンバー数」を提示したロビン・ダンバー英オックスフォード大学教授。25年間、猿、カモシカ、野生のヤギを研究した動物行動学者であり、「人間の社会性進化」というテーマを追究した進化人類学者でもある。
動物と人間の進化を研究した著者は、「友だちとのつながり」という人間の社会的行為に疑問を抱く。友だちと付き合うには金と時間といった資源が要るが、生存には助けにはならず、経済的利得もない。人間を含むすべての動物が生存と繁殖に最適化された環境を追求するという観点では、費用がかかるだけの友だちとのつながりは多少退行的だ。にもかかわらず、人間は友だちに金と時間と心を使う。「友だちと友情」という多少非科学的なテーマをめぐって、著者はこの20年間に全世界で行われたあらゆる研究を検討する。その結果、友だちとのつながりに成功した人間こそ、健康で長く生き残る優秀種という結論を下す。
友だちがいない人は世の中に一人残されたような孤独感を抱くが、著者はこの孤独感が与えるリスクに注目する。精神の病であるうつ病はもとより身体にも否定的な影響を及ぼすからだ。著者が紹介した研究によると、孤独感に圧倒された人は、インフルエンザの予防接種の後も免疫ができなかった。青少年期に友だちがいなければ、体内炎症のリスクが高まり、太りやすい体質になる。1人で余生を送る高齢者は高血圧のリスクにさらされる。結局、人は精神的にも肉体的にも脆弱な状態になることを防ぐために、体と誠意を尽くして友だちと付き合っていたのだ。
友だちとのつながりが簡便になったオンライン時代に、人はより健康になるのではないか。著者は断固として「違う」と答える。「フォロワー」で1秒後に友だちになり、コメント欄に「いいね」をクリックして関係を維持する行動は経済的かもしれないが、友だちと友情が与える効用を全て享受することはできないという。十分に時間をかけて努力し誠意をつくす関係だけが人に友情を感じさせ孤独感を減らす。友だちとのつながりでデジタルメディアがすることは、友情が自然に冷める速度を遅らせるだけであり、友情が続くことを願う場合、時々友だちに会うことが必要だと著者は話す。
白髪の進化人類学者が下した500ページ以上の科学的論証の終わりは、もしかするとすでに私たち皆が知っている話かもしれない。「距離をおくこと」が美徳になり、非対面の技術が蔓延した時代にも、相手の感情を押し込んだ目と声、表情から出る感覚を「直接」経験することこそ人間を孤独から解放する唯一の救いであるということを。参照: https://www.donga.com/jp/article/all/20220108/3132673/1
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