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うつ病、統合失調症、不安症といった精神疾患は若い世代に発症しやすいということをごぞんじでしょうか。正確なデータはありませんが、ストレスの多さや生きづらさから、子どもの「心の病気」が増えていることも一因と言われ、自殺の要因にもなっています。精神科医で東京都立松沢病院院長の水野雅文医師が執筆した書籍『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)から一部を抜粋してお届けします。
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精神疾患にはさまざまな病気があり、病気ごとに発症しやすい年齢(好発年齢)は異なります。中でも認知症は高齢者に多く、加齢とともに発症する人が増えます。それ以外の代表的な精神疾患の好発年齢はほとんどが50代以下。摂食障害や統合失調症など、発症のピークが10代、20代という病気も少なくありません。
出典:『精神疾患に関する指導参考資料』(公益財団法人日本学校保健会)
出典:『精神疾患に関する指導参考資料』(公益財団法人日本学校保健会)
海外の研究では精神疾患を持つ人の半数は10代半ばまでに発症しており、全体の約75%が20代半ばまでに発症しています。つまり精神疾患の多くが、学校教育を受けている年齢で発症しているということです。10代半ばは思春期にあたり、精神的にも大きな変化が現れる時期です。20代半ばまでには、進学、就職といった大きなライフステージの変化もあります。精神疾患は病気によっては治療が長引いてしまう場合もあり、いったん良くなっても再発しやすいという特徴があります。その結果、学校教育機関の児童・生徒は休学を余儀なくされたり、不登校になるなど、学校生活に影響が出てしまうケースも少なくありません。
■自殺増加の背景に「心の病気」日本の小中高の児童・生徒の自殺者数は、2016年は289人、17年は315人、18年は333人、19年は339人と近年は微増傾向が続いてきましたが、コロナ禍となった20年は499人に急増しました。自殺者数が増える一方で、子どもの数自体は年々減っていますから、子どもの自殺率は明らかに増えていることになります。ほかの先進国と比較して、若い世代の死因の割合として自殺が多いことも特徴です。
正確なデータはありませんが、ストレスの多さや生きづらさから、子どもの「心の病気」が増えていることも一因と言われています。
文部科学省が生徒指導施策推進の参考にするために毎年、小中高校生を対象に行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の2019年の調査結果でも、「自殺の要因」を「精神障害」としているケースは、中学校では8・8%。高校は9・5%でした。中学校も高校も自殺の1割近くに精神疾患がかかわっているかもしれないという事実は、重く受け止める必要があるでしょう参照: https://dot.asahi.com/dot/2022011500018.html?page=2
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